ハーブの一種である「リコリス(別名:甘草)」。甘草の名前の通り砂糖の50倍の甘みがあり、咳を鎮めたり痰を出す働きや、消化性潰瘍に用いられるハーブです。また日本薬局方にも収載されており、生薬としてさまざまな漢方に使用されています。
さまざまな薬効を持つリコリス(甘草)ですが、妊娠中の妊婦さんが飲んでも大丈夫なのかを助産師ハーバリストが解説していきたいと思います。
リコリス(甘草)を妊婦さんは飲んでも大丈夫?
リコリス(甘草)は妊婦さんは飲むことが出来ません。妊娠中は禁忌のハーブです。
特定非営利活動法人メディカルハーブ協会が監修している「メディカルハーブ安全性ハンドブック」によると、リコリスはクラス2b(妊娠中に使用しない)、2d(医療従事者の監督下以下での長期の使用や多量の服用をするべきではない)となっています。
特定非営利活動法人メディカルハーブ協会から一部抜粋させて頂きました。
『メディカルハーブ安全性ハンドブック』は1997 年に AHPA(米国ハーブ製品協会)によって刊行されたもので、650 品目に及ぶ メディカルハーブを安全性の観点からを7段階にクラス分類し,使用上の注意やハーブ製剤としての使用可否等を科学的アプローチによりまとめた安全性データ、さらに付録として植物化学成分の 解説やメディカルハーブの薬理作用などを収載したもの。日本版は 2001 年に当協会の前身である「メディカ ルハーブ広報センター」の監修によって刊行されました。
厚生労働省がサイト「統合医療に係る情報発信等推進事業」によると、「一部の研究では早期陣痛(早産)のリスクを上昇させる可能性が示唆されているため、妊婦はカンゾウサプリメントの使用やカンゾウを食用で多量に摂取するのは避けるべきです」と記載されています。
リコリス(甘草)とは?
学名:Glycyrrhiza glabra(グリキルヒサ グラブラ)
英名:Liquorice
和名:カンゾウ(甘草)
科名:マメ科
使用する部位:根部、ストロン(ほふく枝)
作用:鎮咳作用、去痰作用、鎮静作用、抗アレルギー、ホルモン作用(コルチコイド作用、エストロゲン作用)、抗ウイルス作用、矯味(甘み)
禁忌:肝臓疾患、高血圧症、腎不全
副作用:長期、過剰投与による偽アルドステロン症発現の可能性があり
名前の通り砂糖の50倍の甘みを持ち、古くから伝統医学で使用されてきた歴史があります。咳を鎮めたり、喉の痛みを和らげたり、痰を出すのを助ける働きがあり、古くから呼吸器系の疾患に使用されてきました。
また日本薬局方にも収載されており、生薬全体の調和の目的で漢方にも使用されています。
リコリスは日本薬局方に収載されていますが、一般的にまだ食品扱いなので、誰でも手に入れることが出来ます。しかし、服用期間が決まっていたり、禁忌の疾患、副作用も報告されているため、医療従事者ハーバリストとしてはむやみやたらに飲まない方が安全だと思っています。どうしても飲みたい、使用したい場合は医療従事者またはハーブの専門家の指示を仰ぐのが賢明でしょう。
リコリス(甘草)に変わるハーブ
この記事を見てくれた方は「妊娠中にリコリスを飲んでもいいのかな?」、「リコリスはお腹の赤ちゃんに影響ないかな?」と心配や疑問をもった方だと思います。
上記に記載したとおり、リコリスには咳を止めたり、胃の痛みを和らげたりと、とても素晴らしい薬効があります。しかし妊婦さんにリコリスは禁忌のため、リコリスに変わるハーブを使用する必要があります。
助産師ハーバリストがリコリスに変わるハーブを下記にご紹介します。妊娠中でも安心してお飲み頂けるハーブばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。
①咳・痰・風邪で悩んでいる時
マレイン、マローブルー、ジンジャー
②リラックスしたい時
リンデン、レモンバーム、オレンジピール
まとめ
リコリス(甘草)はとても薬効の高いハーブですが、妊娠中の妊婦さんは使用出来ません。似たような作用をもつハーブもいくつかありますので、ぜひそちらのハーブを使用してください。
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