甘くてスパイシーな香りと味を持つ「フェンネル」。インドやネパール料理のお店でよく目にするスパイスハーブの一種です。
お腹の調子を整えたり、咳を鎮めたり、ダイエットや母乳の出を良くすると言われている程、様々な薬効を持つハーブです。
そんな薬効高い「フェンネル」、妊娠中は飲んでも大丈夫であるのかを助産師ハーバリストが解説していきます。
フェンネルとは?
学名:Foeniculum Vulgare(フォエニクルム ウルガレ)
英名:Fennel
和名:ウイキョウ(茴香)
科名:セリ科
使用部位:果実
フェンネルは別名「魚のハーブ」とも呼ばれ、料理のスパイスとして古くから使用されてきた歴史があります。
メディカルハーブとしては消化を促してお腹の調子を整えたり、咳を鎮めたり痰を出しやすくする働きもあります。
またギリシャ語でフェンネルのことをマラトロウと言いますが、「痩せる」という動詞から派生したとも伝えられています。このことからダイエットにも役立つとも言われているスパイスハーブの一種です。
精油成分のトランスアネトールにはエストロゲン作用があるため、母乳を出す働きもあると言われています。
妊婦さんはフェンネル飲んでも大丈夫?
結論から言いますと「妊娠中は飲まない方が安全です」。
なぜこんな曖昧な結論かと言いますと、禁忌としている団体もあれば禁忌にしていない団体もあるからです。
えっ!?どうゆうこと?と思われる方も多いと思いますので、ひとつづつ解説していこうと思います。
なぜ妊婦さんはフェンネルを飲んではいけないの?
フェンネルに含まれる精油成分の「トランスアネトール」にはエストロゲン作用があると言われており、産後の母乳分泌を促進する働きがあると言われています。
そのため妊娠中のフェンネル飲用は禁忌となっているところが多いです。 国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所が運営しているサイト「健康食品」の安全性・有効性情報では妊娠中のフェンネル飲用は「信頼出来る十分な情報が見当たらないため使用を避ける」と記載されています。
禁忌になるようなエビデンス(科学的な根拠)はなかったものの、信頼出来る研究結果も出なかったため、万が一のためにも禁忌となったと推測されます。
※画像をお借りしています。
しかし、米国ハーブ協会(American Herbal Products Association:AHPA)が編集したハーブの安全性に関するデータでは「クラスⅠ:適切に使用する場合、安全に摂取することができるハーブ」と位置づけられています。
※AHPAとは1997年にAmerican Herbal Products Associationが編集したハーブの安全性に関するデータ集。毒物学・薬理学・臨床研究・症例報告などを用いて、およそ600種類のハーブを相対的な安全性や潜在的な毒性の程度によってクラスⅠ~Ⅳ段階に分類して掲載したもの。
妊娠中はフェンネルは使用禁止じゃないの?と思われたと思いますが、AHPAでは使用禁止になっていません。ただし「クラスⅠ:適切に使用する場合、安全に摂取することができるハーブ」と記載されています。
※画像をお借りしています。
英国医療ハーバリストのペネラピ・オディのメディカルハーブ薬用ハーブ完全図解ガイドには「フェンネルは子宮を刺激するため、妊娠中は大量に使用しないこと。少量を料理に使用するのは問題ありません」と記載しています。
えっ!?どっちが正しいの?と混乱してしまいますよね!
最終的には上記にも記入しましたが、妊娠中のフェンネル飲用について、禁忌になるようなエビデンス(科学的な根拠)はなかったものの、信頼出来る研究結果も出なかったということなんです。
しかし、フェンネルの精油成分には女性ホルモンの一種である「エストロゲン」に似た作用を含むため、妊婦さんのフェンネル飲用は避けた方が安心であると言えます。
妊娠中にフェンネルを間違って飲んでしまった!?大丈夫?
間違って1~2回飲んでしまっても、特に問題はありません。
飲用後にお腹の張りを強く感じた!など普段とは違う異変があったら、すぐにかかりつけの病院を受診してください。
しかし、妊娠中禁忌のハーブを間違って飲んでしまったとしても、あまり神経質にならないようにしてください。妊婦さんにとってはストレスも大敵です。ハーブティーを飲んだことが影響なかったとしても、考えすぎてストレスでお腹が張ることもあります。
どうしても不安な場合は、医師や薬剤師、自然療法士、ハーバリストなどに相談するのがよいでしょう。
ネットの情報を鵜呑みにしないで!
「妊婦 禁忌 ハーブティー」や「妊娠中 ハーブ 禁忌」などと検索すると、妊娠中のハーブティー飲用についてたくさんの記事が出てきます。
この記事を読んでくださっている方も目にしたことがあるんではないでしょうか?
確かに子宮収縮を促したり、ホルモン作用があるハーブは絶対に飲んではいけませんが、ローズヒップやダンディライオン、ネトルなどは妊娠中でも安心して飲むことができます。
ただし妊娠中に安心して飲むことが出来るハーブでも、一度に大量に飲んだり、濃いハーブティーをたくさん飲んだり、飲み物を全てハーブティーに変えるなどの無茶な飲み方をすれば、もちろん体にとって毒になりえます。
妊娠中はお腹の赤ちゃんのこともあり、とにかく慎重になるのはあたりまえです。あれもだめ!これもだめ!と書いてある記事を見ると、「何飲んだらいいの?」と不安や神経質になって逆にママにも赤ちゃんにもストレスがかかってしまいます。
ネットやSNSの情報を鵜呑みにしないで、信頼できるところから情報を得て、妊娠中も安心安全にハーブティーを飲んで、快適なマタニティライフを送ってくださいね!
こちらもぜひ参考にしてくださいね!
ドイツマリエン薬局「禁忌・禁止は単体ハーブを大量に食べることを想定した注意点」
まとめ
とても薬効が高く古くから薬草として活躍してきた「フェンネル」。
産後は母乳分泌を促進したり大活躍しますが、女性ホルモンに似た働きをするため、妊娠中の飲用は止めた方が安心です。
妊娠中にも安心して飲めるハーブはわりとたくさんありますので、ぜひ妊娠中でも安心安全に飲めるハーブを選んでくださいね。
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