妊娠中のマイナートラブルBEST3に入る「便秘」。悩んでいる妊婦さんも多いはず!今日は妊婦さんの便秘に役立つハーブティーをご紹介しようと思います。
ハーブには腸の中の善玉菌のエサになる成分を豊富に含んでいたり、腸にたまった便を軟らかくして出してくれる働きがあります。妊婦さんの便秘解消には水分を多く摂ることも大切なため、その点でも妊婦さんの便秘対策にハーブティーはとても役にたつでしょう。
妊娠中でも安心して飲めるハーブティー・お茶を助産師ハーバリストが徹底解説します!
妊婦さんの便秘解消に役立つハーブ5選
便秘の妊婦さんにおすすめのお茶は数種類ありますが、そのなかでも割とすぐにお店やネットで手に入りやすいハーブを集めました。
第1位:ダンディライオン
第2位:ローズヒップ
第3位:オレンジピール
第4位:桑の葉(マルベリー)
第5位:レモンバーベナ
ちなみに妊婦さんだけではなく、産後の会陰が痛くて力を入れれない方や、便秘で悩んでいる方にもオススメです。
第1位:ダンディライオン
妊婦さんの便秘にはこれ!というくらいおすすめなハーブです。ダンディライオンと聞くと聞き慣れないかもしれませんが、道端に咲いている「西洋たんぽぽ」の根っこがダンディライオンです。
菊芋やゴボウにも含まれるイヌリンという水溶性の植物繊維を多く含みます。イヌリンは腸内で善玉菌のエサとなって、腸内環境を整える作用があります。妊婦さんの便秘には水溶性食物繊維がとても役立ちます。
根を軽くローストして入れたティーは「タンポポコーヒー」と言われ、ノンカフェインのヘルシーコーヒーとして、妊娠中や授乳中のコーヒーの代わりとして飲むこともできます。母乳を出す作用があるため、妊娠中から産後までずっと飲み続けることができます。
ダンディライオンはダンディライオンルート(根)とダンディライオンリーフ(葉)があり、便秘に役立つのはダンディライオンルートの方です。購入するときはダンディライオンルート(根)を買うようにしてくださいね!
味は苦みがあって、かすかに土の味がします。
キクアレルギーの方は飲むことが出来ません。
第2位:ローズヒップ
ビタミンの爆弾と呼ばれるローズヒップは美白効果を期待して、女性に好まれるハーブですが、実は便秘解消・便秘予防にとても役立ちます。
ローズヒップはペクチンと呼ばれる成分を豊富に含んでいます。ペクチンとはりんごや柑橘類に多く含まれる食物繊維の一種です。このペクチンが腸内の善玉菌である乳酸菌を増やして、腸内環境を整え便秘を解消する働きがあります。
妊娠中の日焼け防止、色素沈着予防に役立つため妊婦さんにはとてもおすすめです。
酸味が強い!と思われがちなハーブですが、実は酸味が強いのはハイビスカスであり、ローズヒップはそこまで酸味は強くなく、とろりとしていてほんのり甘みがあります。
バラアレルギーの方は飲むことが出来ません。
第3位:オレンジピール
腸を荒らさない便秘解消ハーブの代表で、ビターオレンジの皮を乾燥させたハーブです。腸の働きを正常に保つ作用があり、妊婦さんの便秘解消にとても役立ちます。味は少し苦みを感じますが、この苦みも消化機能を促進する作用があります。
リラックス作用やリフレッシュ作用もあるため、ストレスの影響による便秘にもとてもおすすめです
第4位:桑の葉(マルベリー)
日本のハーブである桑の葉(マルベリー)はビフィズス菌などの腸内善玉菌のエサとなり、腸内の環境を正常に整えてくれる働きがあります。
味は普通の番茶とさほど変わりがなく、くせがなくてとてもおいしいです。毎日飲むお茶(ほうじ茶、麦茶など)に入れて飲んでも、とてもおいしくおすすめです。
第5位:レモンバーム
胃腸などの消化機能を高めてくれるレモンバーム。腸を荒らさないおだやかな作用のハーブです。リラックス効果がとても高く、オレンジピールと同様、ストレスや緊張が影響の便秘解消にとても役立ちます。
味はレモンの香りの中に、若干草の香りがします。
【助産師執筆】妊娠中のリラックスにおすすめのハーブ3選
なぜ妊婦は便秘になりやすいの?
ここでは助産師が、妊娠中に便秘になりやすい原因を5つに分けて説明します。
妊娠すると妊娠を継続するために、女性ホルモンの一種「プロゲステロン」が増加します。プロゲステロンは流産や早産を起こさせないように、子宮が収縮するのを止める働きがあります。さらにプロゲステロンは全身にも同じように働くため、胃腸の筋肉にも作用して、胃や腸の働きを低下させることが知られています。
そのため便秘になったり、胃もたれや胸やけになる妊婦さんが多いのです。
妊娠後期になると胎児が大きくなり、子宮の後ろにある腸が圧迫されます。そのため必然的に便秘になりやすくなります。
妊娠すると疲れやすくなったり、腰痛・背部痛・股関節があったりして、妊娠していないときよりも運動量が減ります。これも妊婦の便秘の原因のひとつと考えられています。適度な運動は腸の動きを活発にし、便秘改善に役立ちます。
以外かもしれませんが、ストレスを多く抱える妊婦さんに便秘はとても多いです。
妊娠すると自分の身体のこと、お腹の赤ちゃんのことなど悩みや不安は尽きません。またホルモンバランスの影響でどうしても妊娠していないときよりも、イライラしたり、落ち込んだり、急に涙が出たりとストレスも多く抱えます。
腸は自律神経のひとつである副交感神経の影響を受けており、ストレスがかかり副交感神経の働きが弱くなると、腸の働きも弱くなり便秘になりやすくなります。
妊婦さんは貧血になりやすく、ひどくなると鉄剤を処方されるようになります。この鉄剤の影響で便秘になる妊婦さんも多くいます。
妊婦さんの便秘薬は市販のでもいいの?
妊婦さんの便秘に市販薬を購入して飲むことは絶対にしないでください!
「便秘で悩む妊婦ですが、コーラック飲んでもいいですか?」と助産院にもお問い合わせがくるのですが、絶対に飲んではいけません!成分が赤ちゃんに移行してしまうリスクもあるし、コーラックなどの市販薬は大腸を刺激して排便を助けるものであり、切迫流産や早産のリスクが高まります。
再度いいます。絶対に妊婦さんは便秘の市販薬を飲んではいけません!(便秘薬に限らず市販薬は絶対ダメ!!!)
妊婦さんの便秘にセンナ茶はいいの?
便秘におすすめ!とよく薬局でみかけるセンナ茶。妊婦さんは飲んではいけません。
便秘解消に役立つと言われているセンナ、アロエ、大黄(ルバーブ)、キャンドルブッシュなどのハーブはアントラキノン系といわれる分類に属しており、大腸を直接刺激して排便を促します。そのため、かなり強い腹痛をもたらすことがあります。
上記のコーラックと同じで、便秘や下痢の腹痛から切迫流産や切迫早産になるリスクがとても高まります。
妊婦さんはセンナ茶、アロエ、大黄(ルバーブ)、キャンドルブッシュの大腸刺激性下剤に属するアントラキノン系ハーブは絶対に飲んではいけません!!
おすすめの飲み方
一回のハーブの量:約2g
一度に飲んでもいい量:ティーカップ1~2杯まで(マグカップなら1杯)
一日の飲む回数:1回~2回
妊娠初期は控える
妊婦さんは普通の女性(妊娠していない人)よりも、薄めで飲むことをおすすめしています。また、今日は体調があんまりよくないと感じる時は飲まない方が無難かもしれません。
ハーブは薬に比べると作用はおだやかですが、それでも一度にたくさん飲んだり、濃いハーブティーを飲んだり、一日に数回飲んでしまうとお腹が痛くなったり、下痢をしてしまう危険性があります。
妊娠していない時だったら「お腹が痛くて下痢した」で済むのですが、妊婦さんはそうはいきません。妊婦さんが下痢をしてしまうと、子宮も影響を受けてお腹が張りやすくなったり、最悪、切迫流産や早産になるリスクが高まってしまうからです。
そのような理由から、妊婦さんのハーブティー飲用は注意を要する訳です。
ただし勘違いして欲しくないのは、妊婦さんにハーブティーは危険だから飲まない方がいい!という誤解です。
例えば、どくだみ茶は子宮刺激作用があると言われていますが、たくさん飲まなければ妊娠中でも大丈夫と言われています。しかし、切迫流産や切迫早産の方、お腹が張りやすい人、妊娠初期は飲まない方がいいでしょう。
ハーブはお薬と違い作用がおだやかなので正しい知識をもって使うことで、マイナートラブルが軽くなったり、出産の緊張や不安を軽減したり、産後は母乳の出を助けたりと、さまざまなシーンで大活躍してくれます。
まとめ
妊娠中の便秘はホルモン変動や大きなお腹が原因で起こるのでしょうがない!と分かっていても、とてもつらいものです。どうしても出ない時やつらいときはお薬に頼ることも必要ですが、日頃からダンディライオンやローズヒップなどの便秘に役立つハーブティーを飲んで、出来るだけスルスル快便を目指しましょう。
コメント